同じ売上でも、保証期間中のキャストと売上スライドを適用するキャストでは、時給が違うことがあります。給与計算は「誰に、いつから、どの条件を使うか」を確定するところから始めます。閉店後に担当者の記憶を頼らずに済むよう、条件の整理から締め処理までを順に見ていきます。
保証時給の意味と優先順位をそろえる
保証時給は「売上にかかわらず一定期間は固定額を使う」のか、「売上スライドで決まる時給と比べて高い方を使う」のかで、計算結果が変わります。「保証あり」の印だけで管理せず、キャストごとの取り決めを文章にしましょう。
- 保証固定:保証対象期間には合意した固定時給を使う。
- 高い方を適用:同じ適用期間について保証時給とスライド時給を比較する。
- 保証終了後に移行:終了日までは保証条件、翌日以降は定めたスライド条件を使う。
どの方式が全店舗の標準というわけではありません。雇用の場合、賃金の計算方法や締切日などは明示すべき労働条件です。厚生労働省の労働条件明示の案内も確認し、口頭説明と書面、計算用の設定を一致させます。
キャスト別の条件表に適用期間を持たせる
名前だけでなくキャストIDで条件をひも付けると、同名や源氏名の変更による取り違えを防ぎやすくなります。条件表には、少なくとも次の項目をそろえてください。
- 計算方式、保証時給、保証の開始日と終了日
- 使用するスライド表の版と、その適用開始日
- 売上を集計する期間と、その結果を時給に反映する期間
- バックの併用条件、変更理由、本人への説明・合意の記録、確認者
特に「当月売上で当月の時給を決める」と「前月の売上で当月の時給を決める」は別です。変更時は元の条件を残し、新しい条件に適用開始日を付けます。過去の給与まで新しい時給で再計算される状態は避けましょう。
スライド判定に使う売上の範囲を決める
卓の会計額をそのまま本人の判定対象売上にすると、集計の前提がずれることがあります。税込・税抜、サービス料、値引き、取消、未回収分の扱いを決め、複数キャストが担当した卓は配分ルールも明確にします。
売上区分は「以上・未満」で境界を明記します。また、深夜営業で日付をまたぐ伝票をどの営業日に含めるかも統一してください。給与を分ける期間と、売上を集計する期間は別に確認するのが要点です。保証が月途中で終わっても、判定対象が月全体の売上なら、保証終了後の売上だけに絞りません。
月途中の切替は勤務時間を分けて計算する
以下は計算手順を理解するための目安となる仮定例で、時給相場や推奨額ではありません。月末締めで、保証固定が15日まで、16日からスライドへ移る条件を考えます。判定には当月全体の対象売上を使う取り決めとします。
- 15日まで:保証時給3,000円、対象の勤務時間20時間で60,000円。
- 16日以降:月全体の対象売上から決まった時給3,500円、勤務時間30時間で105,000円。
- 時給部分の合計:60,000円+105,000円=165,000円。
これは割増賃金やバック、控除を含める前の時給部分だけの例です。月全体を3,500円で計算すると、保証固定の期間にも別の条件が入り込みます。一方、保証期間中も高い方を使う取り決めなら結果は変わるため、同じ計算式を全員にコピーしないことが大切です。
締め前の照合と修正履歴を残す
締め処理は、合計金額だけを見て終えず、条件・売上・勤怠の根拠を順に照合します。入力担当とは別の担当者が確認できると、設定の取り違えも見つけやすくなります。
- 保証終了者、条件変更者、売上区分の境界付近にいるキャストを抽出する。
- 適用期間、判定対象売上、時給表、対象の勤務時間を元の記録と照合する。
- 本指名・場内・同伴などのバックの重複や漏れ、控除の根拠を確認する。
- 明細に適用時給と期間別の時間数を示し、本人が内訳を追える形にする。
雇用されるキャストの深夜勤務では、時給の判定とは別に割増賃金の確認も必要です。保証額が高いことだけで支払い済みとは扱わず、厚生労働省の深夜割増の説明を参照してください。判断に迷う条件は社会保険労務士などに確認しましょう。
締め後に取消や売上配分の訂正が出たら、変更前後の売上、適用時給、差額、理由、確認者を残します。翌月の給与から自動で差し引かず、訂正方法と本人への説明を確認して処理します。
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